赤本の使い方(高校受験編)

英俊社の赤本は、入試過去問を掲載した問題集です。中学校別入試対策シリーズ、高校別入試対策シリーズ、公立高校入試対策シリーズがあり、赤い表紙が特徴となっています。また、その他の共通の特徴として、「くわしくていねいな解説」「使いやすい別冊解答用紙」「来年度の傾向と対策」「入試データ、募集要項など受験に役立つ豊富な情報」があります。それらの特徴を持つ赤本の使い方について、以下詳しくご紹介します。

過去問演習の意味

①出題傾向や特徴を知る

各学校によって出題形式や傾向などに特徴があります。〇〇字以上の記述式問題が毎年出題される学校,空間図形に関する問題が毎年出題される学校,身近なテーマから発展的な思考が求められる問題が出題される学校など,学校によって出題形式や傾向はさまざまです。しかもほとんどの学校では出題傾向はほぼ一定していますので,まず志望校の出題傾向を確実につかむことは非常に重要です。
このことによって合格するために何を学習する必要があるのかが明確になります。

②自分の実力を知る

過去の入試問題を今の自分はどれぐらい解けるのか。過去問を実際にやってみることによって,志望校が求める学力レベルに対して現在の自分の実力はどの程度なのかを知ることができます。出題傾向を把握したうえで,自分の実力を正しく自覚し,計画的に学習することが大切です。

③入試問題は学校からのメッセージ

学校にはそれぞれ独自の教育理念や指導方針があります。知識の詰めこみだけでなく主体的に考える習慣を身につけてほしいと考えている学校であれば,例えば,知識から派生した思考力が必要な問題が出題されたり,自分の考えを記述式で解答する問題が出題されるなど,入試問題には各学校の特徴が反映されていることが多いです。いわば入試問題は各学校が求める生徒像を表現したメッセージともいえます。過去問を演習するということはより深く志望校を知るということにもつながるのです。

過去問の購入時期について

赤本は例年5月中頃から書店に並び始め、高校入試では10月末頃にはすべての書籍が発刊されます。過去問は年度版であり出版部数も限られているため、私立高校の書籍は進学実績やコース編成の変更などさまざまな要因が複雑にからみあって毎年完売になる書籍がでてきます。そのため志望校が確定しているのであれば早目の購入をお勧めします。多くは秋頃に私学の志望校が決定し、その頃に最も多く購入される傾向にありますが、12月頃になると品切れのリスクは高まりますので注意してください。公立高校の書籍に関しても例年9割以上の方は年末までに購入されているようです。お近くの書店にない場合はそのお店に注文していただくとスムーズに入手できます。

過去問に取り組む時期について

ほとんどの人は人生で初めての入試になります。入試問題というものがどういったものかを早めに掴むことはアドバンテージになります。入試本番までの残された時間でどういった問題が解けるようにならなければいけないのか、どういった対策をしていけばよいのかなどを体感的に知ることができるからです。そこでまずは1年分の入試問題(赤本で最も古い年度)を夏休み明け(9月頃)に時間をつくってやってみましょう。もちろん、この時期ですので学習していない内容もあり、得点につながらない部分もありますが、この時期大切なのは点数よりも入試問題を時間をはかって解くことで、入試というものを疑似体験することです。残りの年度の入試問題については、この後の「使い方」を参考に進めればよいでしょう。その時期としては、私立高校の過去問については12月・1月頃、公立高校については私立高校の試験が終わった2月・3月頃がベストかと思います。

使い方の流れ

赤本の使い方の一例です。使い方は様々ですから、学校や塾の先生からの指導があればそれらも参考に自ら工夫して有効活用してください。

【実戦】
できるだけ本番に近づけるため静かな環境をつくり、時間帯も合わせるなど本番と同じ条件で行うことがベストです。試験の順序もできるだけ本番に合わせましょう。
【採点】
すべてのテストが終わったら採点に入りましょう。
【記録】
すべての点数をあとから一覧化できるように所定の場所に点数を記録しましょう。
【比較】
採点した結果から、入試データにある合格最低点や合格基準点と比較してください。ここでどの程度余裕があるのか、またどの程度足りないのかを見てください。足りていない場合でも不安になることはありません。大切なのはこのあとの対策です。
【対策】
1科目ずつできなかった問題に対して解説などを見ながら、次のチェックと対策を行いましょう。

① 解説を読むと理解できるがテスト中に答えを導き出せなかった問題には○印をつけましょう。
この印がついた問題は「惜しかった問題」、言い換えればここからの取り組み次第では十分に得点できる問題です。これまでに使ってきたテキストなどに戻ってできるだけ早く復習を行いましょう。

② 勘違いや計算ミスなど本来ならできていたはずの問題には△印をつけましょう。
この印がついた原因の多くは確認不足です。実際に問題を解いている最中でも自信のある問題には印をつけてあとから見直しができるようにしておきましょう。そのためには確認するための時間を確保することが大切です。また、計算などはきれいに残しておくと確認する時間を短縮できます。

③ 解説を読んでもなかなか理解しにくい問題や苦手意識の強い問題には✕印をつけましょう。
この印がついたものは得点につながりにくい問題ですから、ここに多くの時間をかけすぎるのは危険です。例えば、算数で図形の問題が苦手でいつも(3)を間違えてしまうという傾向が見えてくることがわかれば、(1)と(2)を確実に得点することです。(1)で計算ミスをし、(2)も間違えてしまうということは絶対に避けなければいけません。そのために(3)には多くの時間をかけすぎず、(1)と(2)を確認するための時間を確保しましょう。そして時間が余ればあとからゆっくりと考えれば良いのです。正解しにくい問題がどこに多いのかを事前に分析しておき、どこにどの程度時間をかけるべきかを見極める訓練も普段からしておきましょう。